2012年3月11日 仙台へ
ちょうど東日本大震災から一年。このタイミングで長期休暇を取得したのはたまたまですが、、、
まだ震災や原発のニュースも頻繁に流れており、東京でも輪番停電や物資不足などの記憶も新しい時期でした。
震災後しばらくは、社会全体的に旅行などのレジャーは自粛ムードでしたが、1年が経ち、そういったムードも弱まってきた時期だったと思います。
しかし、まだ自粛されていた人も、多かったはずです。一部、ネットでは「不謹慎厨」と呼ばれる人たちもまだ活発でした。
そんな中、旅先を決めるにあたって、いろいろ考えました。昨年は九州でしたので、今年は北の方に行きたい。しかし、特に太平洋側は震災の被害大きく、
このタイミングで観光に行っていいのか、、、等。
しかし、津波に飲まれた地域がどうなったのか、復興状況はどうなのか、それこそ不謹慎かもしれませんが、この目で見てみたいという気持ちも少なからずありました。
一方で、それはもしかすると悪趣味な欲求なのではないか、という思いもあり、相反する感情にさいなまれつつも、宮城県行きを決意しました。
実際に身近にも親戚を亡くした人もいましたし、非情に悩みましたが、、、不謹慎と思わず観光に来てくれ、という現地の自治体からメッセージも出ており、 何とか自分を正当化して新幹線に乗り込みます。
仙台駅到着
新幹線の中で、ちょうど地震発生から1年の時刻になり、黙とうのアナウンスが流れました。東京でも揺れが酷く全員机の下に隠れたこと、電車が止まりその日は帰れなかったこと、 携帯の回線が繋がらなくなり、翌日帰宅してから想像以上の大震災だったことに衝撃を受けたこと等、回想しているうちに「やはり来るべきではなかったのだ」と後悔の気持ちも少し湧き上がって来ていました。そんな気持ちで二時間弱新幹線に揺られ、仙台駅到着します。
東北の最大都市にして中心地の仙台駅です。以前訪れた博多程の大都会っぷりではありませんが、小奇麗でどことなく街並みが洗練されている印象です。
いきなり温泉に向かう
到着して思ったのは、とにかく寒い!思えば、東北には学生時代に2回訪れたことがありましたが、どちらも夏休みでした。
東京とは比べ物にならない寒さです。少し雪も降っています。駅の近くのうどん屋で暖を取りつつ、近くの温泉街を調べます。秋保温泉なる場所が近くあるようなので、バスに乗り込みます。
1時間ほどバスに乗り、到着しました。どんどん山を上っていき、だんだんと人気が無くなり日も少し落ちてきて、少し不安になってきました。
ネット調べたバス亭で降りたものの、温泉街の雰囲気はありません。google mapを見ながら、温泉街のほうに向かいます。途中何かの観光用の施設がありました。中には入りませんでしたが、とにかく人気が無いので、こういった人が集まる目的で作られた建物に安心感を覚えます。
少し歩いて、温泉街と思われる場所に到着。大きくて高級そうなホテルや、老舗の高級旅館が数件あり、私の想像していた温泉街とは少しイメージが異なりました。歩いて散策できるような温泉街を想像していましたが、いかんせんここは山の上。車なり送迎バスで、宿泊する宿に向かうタイプの温泉街のようです。
何はともあれ、高級そうです。温泉だけ入るとか出来るのか、、?出来たとしても、高いのではないか、、?そもそも、ヨレヨレの服装の貧乏サラリーマンは、敷居を潜らせてもらえないのではないか、、、?そんな不安を抱えつつ、なかなか中に入れません。
もっと私の居場所があるような、鄙びた旅館とか、温泉施設は無いのか、、そう思いながら少し山道を歩いていると、共同浴場がありました。今度はだいぶローカルな雰囲気で、旅行者は場違いにならないだろうか、等とた別の不安を感じながら、とにかく寒いので中に入ります。写真は「秋保温泉 共同浴場」とかでググると出てくると思いますが、小さい!建物の外観から、小さいことは予想出来ましたが、想像以上です。おそらく1.5m×1.5mくらいの浴槽です。そして私以外に3名ほど先客がいました。皆地元の方で、仕事仲間のようです。何やらどこどこのパチンコ屋でいくら勝っただとか、どこどこのラーメンがうまい、だとかローカルな話をしています。
これは気まずい、、、と思いつつも、全裸にまで引き返すことは出来ません。ズカズカと中に入っていきます。全員からの「誰やコイツ、、」の視線が堪りません。浴槽が狭く、4人同時に入れません。先に入った二人が上がるまで、体を洗う場所で待たねばなりません。
待っている間も、3人の会話は続きます。気合を入れて入ったものの、さすがに気まずい、、、ここまでの気まずさは、感じたことがありません。しかし、昨年の震災を経験している人たちだと思いますが、普段と変わらない日常の会話をしており、「復興は思っていたより進んでいるんだな」と感じた記憶があります。
体だけ洗って出るわけにはいかないので、辛抱します。体感で2時間ほど待ち、ようやく温泉に浸かります。とにかく熱いですが、外が非情に寒いので、むしろありがたい。帰りのバスの時間はまだ調べていませんが、最悪1時間は待つでしょう。なるべくここで温まったほうが良いでしょう。
温泉からあがり、外に出るともう真っ暗です。バス停に向かいますが、次のバスまで1時間半、、、絶望しながら待っていると、雪がまた降り始めました。
「変な経験をしたもんだ」と思いながら、気長にバスを待ちます。周りには高級ホテルが数件あるだけで、時間を潰す場所がありません。温泉街と言えば、レトロな酒屋さんや、ヤマザキ・ショップがつきものですが、歩いていける距離にはなさそうです。何より暗く、掲載の電波の入りも悪いので、下手に動くと危険です。とにかくバス停の街灯の下でじっとしているのが吉です。山の中でひたすら何もせず2時間近く過ごすことも、今思えばいい経験です。
ホテルで寝る
仙台駅に戻り、ビジネスホテルに入ります。いろいろ複雑な気持ちを抱えながら仙台に向かいましたが、この日は山の方の 山の方に行っただけなので、津波の爪痕を見ることも無く、あまり被災地ということを感じることはありませんでした。 行き当たりばったりの行先決定も良いですが、交通事情は東京都とは大きく異なりますので、歩いて回れるか、周辺にどのような施設があるか等、 やはりある程度の事前調査は必要だな、と痛感しつつ、眠りにつきます。 翌日は、石巻に向かいます。